当工房では染色にて色を付けており、細かい部分は全て筆を使用しております。顔料での「着色」とは違い、染料による「染色」は革自体に色を付ける為、革の風合いを損ないません。但し、永年の使用による変色や色飛びを防ぐ事は出来ません。ですが、それこそが革を使うことの醍醐味だと思っております。数十回、百回と重ねられた染料のグラデーションの美しさを体験して頂きたく思います。
*白のみ、やむを得ず染料ではなく顔料を使用しております。レザーカービングとは何もない平面の革に凹凸を付けることによってデザインを施す技法です。従来の方法である革をカットして叩く、という方法ではなく、当工房独自の工程を経て立体感を出しております。それだけではなく、革を裏から押し上げるパッキングという技法、それから更に立体感を出す為の工程を経てカービングが施されます。日々、一枚革の可能性を探求、追求しております。但し、ベルトやポケットに入れて使用するウォレット等、強度面に問題がある場合は程々にしておりますのでご了承下さい。なおカービングの図案に関しましては全て当方描き下ろしのオリジナルデザインです。 持ち込みデザインも可能ですのでご相談下さい。
当工房は全てハンドステッチ(総手縫い)にて作品を仕立てております。レギュラーで使用している糸はシニュー糸(鹿のアキレス腱から作られる本シニューを模したモノ)です。白、生成り、黒、青、赤、緑、ハニーゴールド、紫、黄色、グレー等があります。もしくは雰囲気に合わせてアイルランド産の高級麻糸も使用出来ます。色の種類等はお気軽にお問い合わせ下さい。仕立てはエルメスでも使用されているフランス産の工具を使い革に穴を開け一針づつ手作業で縫い上げていきます。革が厚い部分は写真の様に革に段差を付ける加工を施した後、ハンドステッチで縫い上げます。そうする事によって直接糸が擦れて起こる糸の痛みを軽減出来、且つポケット等への収まりも良くなるのです。
当工房では百年以上の歴史を持つアメリカ製のプロング式(割りピンタイプ)のスタッズを使用し、勿論全て手作業で一つ一つ手打ちで製作しております。古き良きヴィンテージスタッズアイテムに敬意を払いつつ、どこか自分なりの遊び心を取り入れたデザインを心掛けて製作しております。ニッケル製、真鍮製を使い分けて製作しておりますが、基本的に燻してアンティーク感の出ているスタッズを使用しております。石に関しましてはビンテージと同じ形状のアクリル製、形状は平たいですがガラス製、スワロフスキークリスタル製、天然石製等も御座います。当然リザードスキン等のインレイも可能です。
気になることが御座いましたらお気軽にお問い合わせ下さい。コバ(革の断面)は多くの工程を経て磨き込みます。丁寧に磨き込まれたコバは革が何枚重ねてあっても、その境目は消え、革本来の艶が最大限に生かされます。そして摩擦や衝撃にも強くなり、見た目の美しさを永年保つ事が出来ます。コバ磨きはハンドメイドレザーで一番の醍醐味でもあるのです。仕立ての良し悪しはコバに現れます。
是非その感触を楽しんで下さい。